映画笑いのカイブツを無料配信で見る方法・どこで見れる？

原作はWebメディア「cakes（ケイクス）」の連載で熱狂的に支持され、書籍化されたツチヤタカユキ氏による同名私小説。テレビ番組「着信御礼！ ケータイ大喜利」で最高位「レジェンド」の称号を獲得。

その後、ラジオ番組や雑誌へのネタ投稿で圧倒的な採用回数を誇り、“伝説のハガキ職人”と呼ばれた実在の人物の痛いほどに純粋で激烈な半生を、本作で満を持しての長編商業映画デビューを果たす気鋭・滝本憲吾監督が映画化する。

主人公のツチヤを演じるのは話題作への出演が続く、実力派俳優・岡山天音。

さらに、ツチヤの才能を見出し、東京へと呼び寄せる人気芸人ベーコンズの西寺を仲野太賀、全く異なる境遇ながらツチヤと意気投合するピンクを菅田将暉、ツチヤが想いを寄せるヒロインのミカコを松本穂香、ツチヤのおかんを片岡礼子が演じるなど日本映画界に欠かせない名優たちが集結し、驚異的なアンサンブルで観る者を物語へと引き込む。また、脚本を日本アカデミー賞最優秀脚本賞など数々の賞に輝く足立紳（『百円の恋』）と、山口智之（『きばいやんせ！ 私』）、撮影を鎌苅洋一（『花束みたいな恋をした』）、音楽を村山☆潤が手掛けるなど、精鋭スタッフ陣が集結。細部にまでこだわり抜かれた映像と世界観でツチヤタカユキの唯一無二の半生を映し出す。

大阪。何をするにも不器用で人間関係も不得意な16歳のツチヤタカユキの生きがいは、「レジェンド」になるためにテレビの大喜利番組にネタを投稿すること。狂ったように毎日ネタを考え続けて6年——。自作のネタ100本を携えて訪れたお笑い劇場で、その才能が認められ、念願叶って作家見習いになる。しかし、笑いだけを追求し、他者と交わらずに常識から逸脱した行動をとり続けるツチヤは周囲から理解されず、志半ばで劇場を去ることに。

自暴自棄になりながらも笑いを諦め切れずに、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起をかけると、次第に注目を集め、尊敬する芸人・西寺から声が掛かる。ツチヤは構成作家を目指し、上京を決意するが——。

物語の主人公はツチヤタカユキ。幼少期から「笑い」だけが生きる指針だった彼は、ひたすらにお笑いネタを書き続ける日々を送っていた。人付き合いが極端に苦手で、学校でも社会でも居場所を見つけられず、ただひたすらに大喜利の投稿やネタの執筆にのめり込んでいた。

ツチヤは「レジェンドハガキ職人」と呼ばれるほどの実力者となり、その実力を認めた劇場関係者から声がかかり、作家見習いとして大阪の劇場で働き始める。しかし、コミュニケーションが取れず、劇場の芸人たちやスタッフたちと馴染むことができない。才能はあるが、会話もままならず、孤立していくツチヤ。次第に「扱いにくい人間」として煙たがられ、居場所を失ってしまう。

劇場を去った後、彼は再びハガキ職人としてラジオの世界で名を上げる。ラジオ番組での投稿が話題となり、今度はテレビ番組の構成作家・西寺から「東京で一緒に仕事をしないか」と声がかかる。上京を決意したツチヤは、期待と不安を抱えながら東京で作家の世界に足を踏み入れる。

しかし、東京でもツチヤは変わらなかった。挨拶もまともにできず、打ち合わせでも黙ったまま。才能はあるものの、人との距離を縮められない性格が災いし、再び孤立してしまう。そんな中でも西寺だけはツチヤの才能を信じ、何度も彼を助けようとするが、ツチヤ自身の不器用さやプライドが壁となり、全てがうまくいかなくなる。

精神的にも追い詰められたツチヤは、過去の母や初恋の女性・ミカコとの記憶を思い出しながら、自ら命を絶とうと決意し、橋の上に立つ。しかし、かつての仲間や西寺の存在、そして自らの「笑い」に対する情熱を思い出し、踏みとどまる。彼にとって「笑い」だけが生きる意味であり、それを捨てたら本当に何もなくなってしまうと気づく。

ラスト、ツチヤは再びネタを書き始める。彼は孤独で、不器用で、世間に馴染めないままだが、それでも「笑い」を追い求める自分自身を裏切らないことを選ぶ。笑いに取り憑かれた“カイブツ”としての生き様を貫くことを決め、物語は静かに幕を閉じる。